「お帰りなさ~い」
「・・・来てたのか」
「会いたくなっちゃって。・・・鍵、初めて使いました。なんかもう、どっきどき」
「どっきどき」
「なんかね、ドア開けるのも緊張しちゃって。────あ、夕飯食べました?」
「いや、まだだが・・・もう遅いし」
「食べないで寝ちゃうんですか? ・・・まぁ、こんな時間じゃ胃に負担がかかっちゃうだろうけど・・・」
「そんな顔するなよ。・・・軽いものを少しなら」
「ほんとですか? じゃあ、じゃあね、胃にもたれないようなものをちゃちゃっと用意しますから、先にシャワー浴びてきてくださいね。あ、スーツ、掛けときます」
「・・・ありがとう。────五代?」
「はい?」
「今夜・・・、────いや、いい」
「? 何ですか?」
「いや、大したことじゃない。いいんだ、・・・シャワー浴びてくるよ」
「あ、はい」
******************
「あ、早かったですね。夜食、できてますよ」
「・・・あぁ・・・ありがとう」
「おいしい?」
「うん」
「よかったvv」
******************
「軽く飲みますか?」
「いや・・・もう遅いし」
「そうですね。じゃ、もう寝ましょうか。シャワー借りますね」
「あ、五代・・・」
「はいっ?」
「・・・・・・いや。タオルとか着替え、適当に使ってくれていいぞ」
「はぁい。────じゃ、ささっと浴びてきますんで。一条さん、先に寝てて下さいね」
「あ、・・・・・・うん・・・」
******************
「・・・お邪魔しま~すぅ・・・」
「ああ・・・。早かったんだな・・・」
「────えへへ。時間が勿体なくって。────ね、・・・キスしてもいい・・・?」
「・・・・・・うん」
「んじゃ。・・・・・・・・・・・・ん。・・・一週間ぶり、ですね」
「そんなになる、か・・・?」
「はい。事件が起こんないのはメチャメチャいいことだけど、一条さんと会えないのだけは困っちゃいますねぇ・・・」
「・・・こうやって会えているじゃないか」
「うんvv ・・・嬉しvv ・・・・・・一条さん・・・」
「あ、おい・・・」
「────だめ?・・・疲れてる?」
「・・・・・・・・・・・・」
「一条さん・・・?」
「・・・・・・そんなことは・・・ない・・・」
「じゃあ・・・ね?」
「・・・・・・・・・・・・ああ」
「────あ。・・・・・・・・・・・・一条さん、好き・・・。あぁ・・・」
******************
本庁及び隣県のお歴々が顔を揃える合同捜査会議を明後日に控え、ここ三日ほど準備に追われて完徹状態だった一条は、ようやく帰ることのできた自宅のベッドで、今日だけはなにも考えずに眠りたかった。
(2003.05.03)